二宮 みさき

つらさを我慢しないで。もっと、わがままを言っていい。

28歳で乳がんになり、10年間のホルモン治療があると聞いたとき、その長さに絶望し、未来を想像することができませんでした。それでも日々の治療を続け、先日ついに通院が終わりを迎えました。

がん治療の道のりには、想像を超えるつらさがあります。治療の副作用、晩期合併症や後遺症、そしてそれらを抱えながら仕事や生活を続けていく難しさ。治療が終わっても、その悩みは続きます。

わたしは抗がん剤治療中、ビニール袋を抱えて通院し、タクシーや診察室で嘔吐をしていました。「我慢することが治療の一部」だと思っていたのです。今になって考えれば、診察日を変更することも、周りに助けを求めることもできたと思います。

治療が落ち着いたあとも、「患者だからといって、仕事ができないと思われたくない」と、肩肘を張り続けていました。

もちろん、一生懸命頑張ることは素敵だし、時に必要です。けれど、10年経った今、頑張ることだけが強さではないのだと思うようになりました。

だから、どうか我慢しすぎないでください。ときにつらさを飲み込まざるを得ない状況はあるけれど、つらいときは、つらいと言っていい。治療をがんばっている自分や家族を、認めてあげてください。

がんであってもなくても、「生きやすい」明日をつくるためには、それぞれが自分の気持ちを言葉にすることが大切だと思います。

あなたの「わがまま」が、治療を改善し、社会を変え、将来の生きやすさをつくる糧となります。

みんなで、誰もが生きやすい明日をつくっていきましょう。

AYAweek2026 副実行委員長
アワードグループ
AYAがん経験者
二宮 みさき
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